< 2018年10月号 >
特集/高耐荷力管推進工法の基礎知識
総論:(公社)日本推進技術協会
解説:アルティミット工法協会、アンクルモール協会、エースモール工法協会、ジオリード協会、ドルフィン工法協会、ミクロ工法協会、ラムサス工法協会、ユニコーン協会
連載:第10回 先達に学ぶ「温故知新」/第32回 ゆうぞうさんの山紀行
巻頭言/今月の推論/随筆/会報/その他

月刊推進技術
2018年のスケジュール

月刊推進技術
編集委員会名簿

2015年12月号

特集/推進工法による矩形トンネル構築

 最近の推進工事において「矩形断面での推進工法」が採用されるようになっております。
 都市トンネルの形状は「円形が持つ力学的な優位性」「回転による掘削機構の容易性」により円形が主流で圧倒的な実績を持っております。しかしながら、
・都市の過密化・集約化に伴い輻輳した地下条件の中では円形の優位性が如何に高くても必要断面の確保が不可能な場合
・地下条件は回避できるものの、目的によっては必ずしも円形が最終構造物のベースとして最適とはならない場合
などがあります。
 過密・集約化はさらに進み狭小公有地内や、複雑狭隘化した地下での需要が増加してきたこと、合わせて「省資源化や環境負荷の低減」さらに「工期の短縮」「コストの縮減」などが要求され、1990年から2000年にかけシールド部門において矩形、楕円、馬蹄、多芯円などについて、密閉式の掘削技術の開発が始まり、実験・実証・本工事を経て確立され要求に応えてきております。
 推進部門においても、ほぼ同時期から掘進機や推進設備の開発と、管材メーカにおいては推進函体の開発・規格化を進めるなど組織的に対応を図り「矩形推進技術」として本設、仮設両面で確立し現在多くの実績を重ねております。
 矩形断面の構築が増加している背景は、与えられた範囲内に目的物を構築するためには円形では上・下・左・右、を同寸法で占有しなければ不可能な場合でも、矩形では余裕のある側を利用し大容量の空間を構築することができることです。
 推進工法による矩形断面の増加はシールド工法に比較し小設備、簡便性によることと、豊富な実績による立地条件や地下条件への対応力、地層や形状に応じた効率的な掘削機構の開発力、設備・施工技術の進化、さらには工場製品などにより工期の短縮と高品質の確保などによります。
 今後は、
・施設間の連絡による高機能化・効率化
・効率的な動線の確保による混雑の緩和、地下の活性化、防災対策
・狭小公有地内での大容量の断面の構築と「省資源化」「環境負荷の低減」「工事期間の短縮」「経済性」
などと合わせた技術として要求が高まると考えられます。
 工法の解説を通じ推進技術による地下施設構築技術を理解、進化させ社会に貢献していくことを目的に特集として編さんいたしております。
 今後の発展に寄与して頂けることを期待しております。
(編集担当:小野千代昭)

2015年11月号

特集/既設構造物への到達 その2

 我が国の経済成長の発展とともに、都市の地下空間には、上下水道、ガス、電気、通信等のパイプラインが縦横に敷設され、さらに地下鉄、道路、共同溝など極めて重要な構造物が多く建設されている。しかしながら、より機能的で安全性の高い都市づくりには、まだまだ多くの防災施設やライフラインの建設が必要とされている。また、既存施設の機能を維持し、新たな施設を付加することによりさらにその機能を高めていくことが求められている。
 推進工法は、都市の発展とともに進歩し、技術が高度化することで、長距離、急曲線、大深度(大土被り)の施工が可能となり、都市トンネルの築造に多く用いられているが、地下空間の過密化から施工に対する制約条件が厳しくなりつつある。推進工法は基本的に、発進と到達の立坑を設置してトンネルを築造するが、密集化、輻輳化した既設埋設物や道路交通等の諸条件により、本来であれば設置すべき到達立坑の築造が困難となる事例が増加している。このような場合、様々な検討を経て、到達立坑を設置せずマンホールおよび管きょ等の既設構造物に直接到達させる方法が用いられることが増えつつある。
 既設構造物に直接到達する場合には、既設構造物の当初設計において直接到達の計画がない場合は、構造物の断面欠損に対する補強や地震時の挙動等、構造物に作用する荷重の変化に対する力学的検討が必要になる。また、既設構造物の機能を止めることなく活かしたままの状態で到達させるのであれば、接合箇所における掘進機到達時の止水は必然である。このような接合箇所における構造物の力学特性および施工時の止水性に対し、地盤改良工法は、到達箇所の土質や施工条件により、また、掘進機の到達時だけではなく供用後も見据えて最適な工法を選択することが極めて重要である。
 今月号の特集は、先月号に引き続き「既設構造物への到達」であるが、特に上記の接続先の既設構造物に対する設計上の配慮事項と、到達箇所の止水・地盤改良に焦点を当てた。
 また、工事に携わった施工者による座談会において、通常の推進工事にはない配慮事項や施工上の工夫の経験および設計や発注者に対する要望を聞くことにより、課題と今後の方向性を探る。
(編集担当:西口公二)

2015年10月号

特集/既設構造物への到達 その1

 都市部の地下にパイプラインを敷設する場合、交通障害や工事に伴う周辺環境への影響を低減するために、開削工法ではなく、推進工法やシールドエ法が用いられる。これらトンネル築造技術は都市の発展とともに技術が高度化し、長距離、急曲線、大深度(大土被り)の施工が可能となったことから、我が国の都市の地下には、上下水道、ガス、電気、通信等多くのパイプラインが縦横に敷設され、さらに地下深部には地下鉄、共同溝、道路トンネルなどの移設不能な大型の構造物が建設された。
 現在、我が国では、インフラ施設の整備が進み、これら施設の維持更新の時代に入りつつあるが、近年頻繁に発生する局所的な集中豪雨による浸水対策や、想定される大地震への対策など防災機能をより強化しながら、快適で安全な都市づくりが進められており、地下にはまだまだ多くのインフラ整備が必要とされるところである。
 これら事業の遂行におけるトンネル工事では、発進立坑および到達立坑の築造が必須であるが、立坑を築造するためには地下埋設物の切り回しや防護が必要であり、各種地下埋設物が輻輳化している都市部では、極めて困難となる場合がある。また、道路の交通量が多く規制が困難な道路や、工事の振動、騒音など周辺環境に対する配慮から立坑の設置が困難な場合がある。このようなことから、近年、到達立坑を設置することなく、マンホール、管きょおよび建築物等の既設構造物に掘進機を直接到達させ、掘進機を分割解体して回収する工事が増えてきている。
 既設構造物に直接到達する方法は、通常の到達立坑を築造する方法に比べ、既設構造物に開口部を設けることに対する構造物の補強方法、また、接合部の地盤改良方法や止水方法、あるいは掘進機の回収方法など技術的な課題は多い。しかしながら、既設構造物への直接到達は、既設埋設物の回避や交通障害および周辺環境に対する影響の低減だけでなく、場合によっては到達立坑の省略によるコスト縮減効果が見込めることや掘削残土量の低減による廃棄物発生量の低減、あるいは工程の短縮等を図ることができるなどの可能性もある。また、同様に発進立坑を設けることなく既設構造物から推進を行うことができれば、推進工法の適用性が飛躍的に拡大する。
 今月の特集は、このように立坑を造らず既設構造物等に直接到達あるいは発進する工事の施工において、特に施工方法や掘進機の対応等に焦点をあて、施工事例を紹介するとともに技術の現状と課題について報告する。
(編集担当:西口公二)

2015年9月号

特集/推進技術の継承

 推進工法に関わる業界だけでなく建設業一般、あるいは製造業や農業、林業、水産業など、額に汗する業種においては後継者不足が大きな問題となっています。特に推進業界においては、地下インフラを中心とした社会基盤の再整備に貢献するとともに、膨大な海外の市場への展開が期待されていますので、業界としての将来は明るいと確信していますが、肝心の技術者が少なくなってきていることは否めません。それは3K(きつい、汚い、危険)のイメージと長らく続いた建設不況による賃金の低迷などで、中堅技術者の現場離れが加速されたり若手技術者の採用が困難であったりで、今日のような状況になっています。このままでは新規の高度な推進技術に対応できる技術者が不足するどころか、発注者、施工者とも推進工法そのものを理解し継承する技術者がいなくなります。また、施工者側においては技術の一種ではあると思われますが、機械推進における掘進機のオペレータや刃口式推進における切羽の掘削など、いわゆる「技能」が継承していくことも重要な課題です。
 そのような状況の中で打つべき対策を大別すると、若手技術者が進んで参入できる業界環境作りと、参入後の教育訓練の実施だと思われます。例えば、マスコミとタイアップした業界全体のイメージアップであったり、自動化や省力化の推進による職場環境の改善であったり、企業内外における研修システムであったり、指導者を配置したOJTによる教育訓練システムなどです。
 とはいえ、このような課題は本誌読者をはじめとする推進工法に関わる技術者の皆さんは十分に理解されて、それぞれの企業、現場では様々な対策が講じられていることと思われます。今回は推進技術の中で特に「人」に着目して、技術の継承方法について論じていただきたいと思います。古来から「人は城、人は石垣、人は堀…」といわれているように、推進技術においてもその進歩、発展には人材の育成が不可欠です。今月号では推進工法に関わるいろいろな立場の方に、今行われている人材育成策や課題、そして今後のあるべき姿などを大いに語っていただきます。
(編集担当:中野正明)

2015年8月号

特集/地下水に挑む・守る

 今月号の特集テーマは、「地下水に挑む・守る」です。
 地表面下での施工である推進工法にとって、地下水への対応は常に求められるものです。我が国ではライフライン、地下開発が進んでおり、地下には上下水道、ガス、電気、電気通信等のトンネルや管きょ、地下構造物やその基礎などが多数存在しています。よって、新たに建設される施設は、それらを避けて建設するため、次第にその深度は深くなっています。このため、より高い地下水圧への対応が求められてきました。
 かつては、推進工法における区分けとして、地下水位以下では密閉型推進、地下水位がない場合は開放型推進、高水圧下では泥水推進、低水圧下の場合は泥濃、泥土圧推進との区分や選定が一般的に行われてきました。しかし、近年では地下水がない場合でも泥水推進工法が採用されたり、大土被りの高水圧下で泥土・泥濃推進が採用されたりと、多様化しています。それは、各工法が地下水に対して挑んできた開発された技術・工夫が発揮されてきた結果であると考えます。
 また、地下水はあらゆる環境問題と密接に関わりがあり、都市部においても山間部においても地下水の汚染や遮断などの防止が求められている昨今です。推進工法では、施工中において添加材や滑材の注入、施工後においては裏込め注入を行います。当然、地下水汚染がない環境にやさしい工夫が必要となります。特に透水係数の高い場合や地下水がない無水層などにおいては、留意が必要との認識から様々な創意工夫が必要とされます。
 上記のとおり、地下水に対しては様々な観点からの挑む技術があり、それらが駆使されてきたと想像でき、各々の設備、材料、施工方法において、その技術が存在すると考えます。掘進機、推進設備、発進・到達坑口、発進方法、到達方法では地下水圧に対抗する施工法、推進管材においては水圧に対抗できる強度および継手性能を有した製品、滑材・裏込め材、添加材料などについては地下水を汚染しない・地下水に希釈されない材料の開発などの存在です。
 今回は、現状における推進工法の地下水対応技術をご紹介いたしたく、本特集を組みました。そして、今後の地下水圧に挑む糧、地下水を守る技術の参考となり、さらなる推進工法の発展の一助になればと考えます。
(編集担当:佐藤 徹)

2015年7月号

特集/日本の推進技術・最前線

 本誌7月号は、毎年下水道展の開催に合わせて「日本の推進技術・最前線」の特集を企画しています。
 公共団体の職員が下水道展を視察する目的としては、遅れていた下水道整備を集中的に整備したため、管きょ施設の更新時期への対応や、集中豪雨に対する雨水対策などに対応するための改築推進工法や雨水幹線・雨水貯留管に関する整備技術への関心が高いことを伺っています。
 推進工事を構成する要素としては、最初に着手する立坑に始まりマンホールの築造により完結するのが一般的です。これらの一連の工事を従来の技術と合わせ、近年の新技術や話題性のある事例を取り上げ、公共団体の職員をはじめ来場者に対して理解しやすいように記述したいと思います。
 立坑築造方法として、昭和50年代は鋼矢板のバイブロハンマ打設が主流でした。騒音・振動に関する苦情が周辺住民より多数寄せられ閉口した記憶が甦ります。その後、圧入方式、オーガ併用方式の普及により改善されました。ライナープレート工法も地下埋設物の回避、無騒音・無振動の利点から採用されました。近年、安全性・施工性・工期短縮の観点からケーシング立坑が選択されるケースが増加しています。ケーシング立坑には鋼製とコンクリート製ブロックがあります。支圧壁も現場打ちから既成の組み立て式も開発されており環境対策・工期短縮に寄与しています。
 以前の推進工事は直線施工に限定されていたことから立坑が数多く設置する必要がありましたが、大中口径管推進工法においては1kmを超える長距離推進や曲線推進が可能となり、立坑数の圧縮ができ工期短縮と工事費の縮減にも効果を発揮しています。断面形状においても呼び径5000が可能となり適用範囲が拡大しました。対象土質も掘進機の技術開発により軟弱土から岩盤まで掘り進めます。小口径管推進工法においても長距離・曲線推進が可能となっています。
 これらを可能にしたのは、縁の下の力持ちである計測技術の進歩と滑材、裏込め・注入材の開発も忘れてはなりません。
 推進工法は下水道で技術を磨き、今では水道・電気・通信・地下道等のさや管や構造物等にも採用され、今では存在感のある技術となっています。
 今や世界に冠たる推進技術は今後世界のインフラ整備の手法として展開が期待されています。
 下水道展においては、推進関連の展示会場を視察し技術を研鑽していただきたいと思います。また、今回の特集号が最前線で計画・設計業務に従事する方々のお役にたてれば幸いです。
(編集担当:石北正道)

2015年6月号

特集/多様な地下構造物を建設する推進工法

 推進工法の発祥と発展は、間違いなく下水道をはじめとする管路(パイプライン)の建設を目的として行われてきました。その歴史を振り返れば、初期には刃口式推進工法を用いた道路、鉄道、河川などの横断工事始まり、道路下の縦断路線を長距離、曲線(平面)線形で施工する密閉型機械推進へと発展してきています。今後は管路建設の一部を担う特殊工法ではなく、管路建設においてまず第一番に検討して、適用しなければならない標準工法として発展してゆくと考えられます。
 また一方、最近は管路(パイプライン)建設以外の分野にも推進工法の適用が進んでいます。都市部の再開発などのケースで必要とされる地下通路の建設、2020年に予定されている東京オリンピック・パラリンピックを見据えてのアクセス道路整備などで必要とされる道路の地下合流部、交差部(アンダーパス)の建設、リニア新幹線や地下鉄整備に伴う鉄道の駅舎部建設などの地下空間の建設への適用です。
 管路建設において推進工法に要求される技術としては、施工面では長距離化、急曲線施工、大深度化、難土質への適合などであり、品質面では出来上がり管路の精度、管体の構造物としての強度、軸方向継手の止水性などです。またこの用途の場合は通常埋設される管路は1本であるため、その施工は縦断路線上では複数施工があっても発進立坑では常に単独施工です。それと比較して管路以外の建設において要求されるのは、施工面では大断面施工、大深度施工、急勾配への対応などがあり、品質面では仮設としての適用の場合は函体の仮設構造物としての強度、隣接函体との継手の止水性などです。また1箇所の発進立坑から複数の管体の施工を行う場合が多くあるため、複数同時施工や急速施工技術が要求されます。
 このように同じ推進工法の適用事例ではあっても、管路(パイプライン)建設とそれ以外の適用では要求される技術が少し違うようです。また使用される管材も管路建設においてはヒューム管、塩ビ管が主流ですが、管路以外ではその用途に応じて鋼管、ボックスカルバート、セグメントなど多種多様な材料や形状の管材を使用するため、それぞれ特異な施工方法を工夫しなければなりません。
 今月号では、今後推進技術を展開すべきターゲットであり市場の拡大が期待される、管路以外への適用を取り上げ、現在までの適用事例と今後の展開の可能性を探っていきたいと思います。とりわけこれから道路、鉄道、地下空間などの計画に携わる発注者、コンサルタントの皆様には是非本稿をご覧になって「こんなところでも推進工法が使えるのか」という思いをもっていただきたいと願っています。
(編集担当:中野正明)

2015年5月号

特集/多様な管路を建設する推進工法

 わが国の推進技術の発展と進化は、これまで推進に携わってきた諸先輩方の熱意のたまものであり、絶対にあきらめないという信念のもとに歴史が築かれてきました。推進工事は地盤条件や発注者からの厳しい提示等、環境の変化に適応しながら簡便、安価という長所を生かし、試行錯誤しながらの技術であり、血と汗と涙の結晶の推進工法です。今後、さらなる厳しい環境の中で新たな推進技術の開発、施工が期待されています。
 日本最初の推進工事は、昭和23年、国鉄尼崎線軌道下に敷設された内径600mmの鋳鉄管であり、ガス管でした。その後推進技術は、下水道の普及とともに発展してきましたが、わが国も下水道の普及率が77%を超え、現在では、下水道以外に多様なライフラインとしての用途で推進工法が採用されています。言いかえれば、下水道としての推進工事より、その他の目的として採用されている方が多いと認識してもらう方が良いということです。その背景には、推進技術の応用として下水道以外の顧客ニーズの多様化に対応するために、各社独自の開発の取組や姿勢がCS向上となり、推進技術の拡大に貢献してきました。「これを通したいが推進でできるか?」「埋設が多く上から掘れないし推進なら可能か?」「こんなの推進でできるの?」等…顧客ニーズに正面から対応してきたからです。
 ライフラインの中には、我々が社会生活を営む上で不可欠な基盤として上水道、下水道、電気、ガス、通信等ですが、その大きな枠の中で、こんなところにも推進技術が活躍しているのかを、改めて知っていただくためにこの特集を考えました。そのPart1として、下水道だけではない推進技術として、目的や用途、推進工法を採用した背景等、様々な推進技術を紹介することで顧客の拡大となることを期待します。
(編集担当:舩橋 透)

2015年4月号

特集/欠くことのできない推進測量システム
   〜推進工事の名わき役〜

 今月の特集テーマは「欠くことのできない推進測量システム〜推進工事の名わき役〜」です。
 推進工法は、シールド工法より様々な面で高度な技術が要求されます。これは本特集担当者の持論とするところです。推進工法は、掘削および切羽の安定機構や掘進機周辺の地盤変位を抑制するメカニズムはシールド工法とほぼ同様ですが、掘進機(先導体)に後続する推進管(工事目的物)が、施工中、スライドに伴って常に挙動するため、シールド工法に比べて、線形と推進力管理、地盤変状に対して高度な施工技術が必要となります。
 一般に推進工事のヨーイング管理(中心線測量)は、立坑長辺の短い基準線にもとづいた解放トラバース測量で行われます。前述のとおり推進管が移動するため、推進管内に基準点(ダボ)は設置できず、また、推進工法の特性から、一般にチェックボーリングによる施工途中での線形の検証が困難です。
 昨今の長距離・曲線推進に対するさらなるニーズの高まりに加え、立坑を縮小化する傾向は、解放トラバース測量にとってますます過酷となってきています。これらのニーズに対応するため、計測技術分野では、掘進機の姿勢制御技術とともに「名わき役」として、様々なセンサの開発と測量手法の改良とシステム化を図り、自動化を加速させて測量器の盛り替え時間の短縮を図るとともに、測量に要する回数を減らし、結果としてヒューマンエラーを回避するなど、長距離・曲線施工の技術的課題を克服してきています。
 本特集では、推進工事の品質管理に不可欠かつ重要な測量システムを、トータルステーションやジャイロ方式を主体とする呼び径800以上の大中口径管推進工法と、坑内の有人作業が制限される呼び径800未満の小口径管推進工法における地上電磁波やレーザ射光、CCDカメラ、走行台車方式などを用いた測量技術を掘り下げて紹介しています。また、測量方法や事例の紹介に留まらず、併せてシステムの開発経緯や優位性(特徴)、現段階でのニーズに対する取り組み状況と課題などにも言及していただいています。
 本特集が推進に携わる読者にとって、設計や施工する上での一助となれば幸いです。
(編集担当:阿部勝男)

2015年3月号

特集/欠くことのできない推進工法の周辺技術
    〜名わき役・滑材および裏込め材等〜

 今月の特集テーマは「欠くことのできない推進工法の周辺技術〜名わき役・滑材および裏込め注入等〜」です。
 推進工法は、シールド工法より様々な面で高度な技術が要求されます。これは本特集担当者の持論とするところです。推進工法の掘進機は、エレクタや真円保持など装備されていませんが、切刃の安定や掘削、排土機構はシールドと同様です。推進工法がシールド工法と比べて大きく異なる点は、シールドは目的物であるセグメントを組み立てたのち、テールボイドを裏込め注入で充填し、固結安定さえすれば殆ど施工中のセグメント(工事目的物)の挙動がなくなります。
 一方、推進工法は、前記のとおり掘進機(先導体)周辺の地盤変位を抑制する機構はシールド工法と同様ですが、掘進機に追随する推進管(工事目的物)が、施工中、スライドに伴って常に挙動するため、線形と推進力管理に高度な施工技術が必要となります。推進管の移動は、土質によっては地盤変状を来すためにこれを抑制し、かつ、スライドする推進管と地山との摩擦を軽減する「滑材」や「裏込め材」の選定と併せて確実に充填する「注入技術」が求められます。
 特に滑材は、推進管の減摩効果機能に加え、逸脱、非希釈と非圧縮性に優れ、ボイドと施工線形を保持する役割と、曲線施工にも追随可能な遅硬性と可塑性などの性質、また、その注入技術も要求されます。
 現在、推進施工に携わる方々はこれらの難題に応え、掘進機(先導体)をはじめ、滑材・裏込め注入システム、計測技術、さらには推進力伝達材などの周辺技術の改良・開発を重ね、長距離・曲線施工、超大口径管推進、巨石地盤の施工も可能としてきています。
 今後、益々省エネ・省力化が求められるなか、推進工法が最も社会生活に及ぼす影響の少ない工法として需要に応えていくためには、また、昨今のニーズの高い長距離・曲線施工にとっても、滑材および裏込め材注入技術の確立が不可欠かつ重要テーマと考えられます。
 本特集では、推進工事の品質管理に関わる要因のうち、滑材や裏込め注入技術をターゲットに絞り、注入技術や現場条件に配慮した施工事例を紹介しています。併せて、材料や注入システムの開発経緯や優位性(特長)、現段階でのニーズに対する課題と取り組み状況などにも言及していただいています。
 本特集が推進に携わる読者にとって、設計や施工する上での一助となれば幸いです。
(編集担当:阿部勝男)

2015年2月号

特集/浸水対策に活躍する推進工法

 昨年、異常気象に伴う集中豪雨・ゲリラ豪雨により、日本各地で災害が発生しました。「平成26年8月豪雨」では、北陸、東海、近畿、中国、四国地方の各地で甚大な被害が発生し、特に8月20日の広島市安佐北区、安佐南区を中心とした局地的な短時間豪雨(87〜121mm/h)では、大規模な土石流(広島土砂災害)が襲い74名の尊い命が失われました。
 このほか9月には北海道石狩地方において、北海道のこの時期としては珍しい時間降雨70mmの大雨に見舞われ、札幌市では35万世帯約70万人に避難勧告が出されました。
 地球温暖化の影響と思われる異常気象がますます顕在化する中で、国土交通省では、河川と下水道整備が一体となった「100mm/h安心プラン」の登録制度を平成25年4月に立ち上げました。「100mm/h安心プラン」では、河川・下水道の整備に加え、流域での貯留・浸透事業などの流出抑制策の促進、さらには内水ハザードマップの作成と併せて住民(団体)や民間企業による水害軽減策への取り組みへの啓発・誘導などのソフト面にも力を注ぐこととし、既に10都市以上がこれを受けて「100mm/h安心プラン」の計画策定に着手しています。
 大都市や中核都市では、汚水に対する下水道整備は一定の水準まで達成していますが、雨水対策としては、河道改修と併せて、5年に1回程度の降雨確率(時間雨量50mm程度)に対応する整備が進められ、さらに資産の集積と人口集中の著しい中心市街地などでは、10年に1回程度発生する降雨に対応するための整備も同時に実施されています。
 内水対策としての浸水安全度の向上には、雨水増強管の整備とともに、流域内の公園や校庭などの公共施設用地を活用した雨水の「地下貯留施設」のほか、トレンチ管、浸透ますなどの「浸透施設」の整備が従来から行われてきました。
 しかし、都市部における管路をはじめとする地下空間の確保には、非開削技術が必須条件となっています。最近では工事に着手してから完成するまでの工事期間の短い、即効性の高い大口径管推進工法による「雨水増強管」や「雨水貯留施設」の建設が着目され、呼び径4000の超大口径管推進工事も実施されています。
 本特集では、自治体における現在の雨水対策事業の取り組み状況と併せて、その実行手段としての推進工法に対する関わりと期待のほか、管材メーカ側からは、大口径管や呼び径3000を超える超大口径推進管の雨水対策施設としての可能性などを、施工事例を交えながら紹介しています。
 本特集をとおして、雨水整備に携わる自治体や設計コンサルタント等の職員の方々には、大口径並びに超大口径管推進工法の持つ多様な用途と潜在的な可能性を見出していただき、計画・設計に活用していただければ幸いです。
(編集担当:阿部勝男)

2015年1月号

特集/The SUISHINを海外へ普及定着

 推進技術の海外展開は私の記憶では30数年前に本邦企業が台湾現地企業に技術指導したのが始まりだと思いますが、それからしばらくは単発の事業や機器の販売が行われ、そのうち企業単独で現地法人を設立して推進工事を海外で施工したり機器の製造、販売を行ったりする展開になってきました。しかし、それらはあくまでも企業が単独で進出する形態であるため、海外経験に基づく知識や経験が少なく、いろいろな苦労がありました。例えば、事前調査不足による施工トラブルを始め契約、資金回収、輸出入業務などにおいて、日本ではあり得ないトラブルがあります。
 しかし一方では日本の「推進技術」に対する海外の評価は非常に高く、自国への技術適用を強く望まれています。そういう意味では推進工法は間違いなく海外に売れる技術であり、特に長距離、曲線施工などは日本の独壇場と言っても過言ではありません。また、推進工法の海外への適用は日本における推進工法がたどった道筋と同じく、従来は下水道管路建設が主な市場でした。しかし最近では電力や水道、ガスなどとともにアンダーパスや海底管路などにもその適用を広げようとしています。また一方売り込み相手としては経済発展が予測され比較的距離の近い東南アジア諸国が主たる対象国ですが、最近では中東やアフリカ諸国からもその要請がきているようです。
 そのような背景で、今後の推進工法の海外への売り込みを考えるときには、従来のような企業単独形態では対応困難であり、官と民および民と民が一体となって対応しなければなりません。その国の状況に適した設計積算施工の基準作りと標準化、現地の国民および発注機関の理解を得るための啓蒙活動、発注者側技術者の養成、現地施工技術者の育成、高度な施工技術を支える高品質の推進管の製造基盤作り、掘進機などの推進機器の整備(製造)の基盤作りなど、やらなければならないことを数え上げればきりがありません。東南アジアにおける大きな下水プロジェクトの施工は2〜3年後からと思われますが、上記のような準備作業は早急に、確実に、チームワークをとって進めていかなければなりません。
 今月号では推進工法の海外展開をテーマとして、これまでの経験から見えてきた問題点、情報共有としての海外プロジェクトの現状、確実に売り込むための課題などを官民いろいろな立場から記述していただきます。この特集記事が契機となって日本の推進技術の海外展開が新たな段階に進むことを期待するとともに、「推進・チーム日本」がより現実化することなどを期待しています。
  (編集担当:中野正明)

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